「99.9%は仮説」 [読書]
半年以上前に購入した本だが、(何かの待ち時間だとか、たまに電車に乗った時などしか読まなかったので)昨日、やっと読み終えた。
サブタイトルの「思いこみで判断しないための考え方」がこの本のテーマといっていいと思う。 非常に読みやすく、分かりやすい本である。理科系向きとかいう人もいるが、そんなことはなく、一般向けの良い啓蒙書だと思う。
「世界は仮説でできている」といっても、真実は分からないから信じるなと懐疑主義を勧めているわけではなく、「一般に真実とされている科学的知識は原理的なものも含めて絶対不変ではない」ことを例証しているのである。
著者が「100%は仮説」と言わず「99.9%は仮説」と言っているのは、おそらく、「100%は仮説」と断言してしまうと、「100%は仮説」という主張自体が仮説ということになり、パラドックスに陥ってしまうからだろう。「99.9%は仮説」という主張が真理であるという命題ならば論理的矛盾はなく、「0.1%の仮説でない真実」の内に「99.9%は仮説」という主張が含まれていると考えることが出来るからである。
この本を読んでの私の一番の収穫は、次の点にあった。
科学哲学者カール・ポパーが「科学理論は常に反証可能である」として、「反証可能性」の有無を科学と疑似科学とを峻別する基準として提唱したことの意味を極めて分かりやすく説明してくれたことである。(因みに、コンサイス20世紀思想事典の、「反証可能性」とは「言明が、論理的にそれと矛盾する個別的な観察言明によって偽とされる可能性のこと。…」という解説を読んだことがあるが、非常に難解で良く分からなかった。)
科学理論の仮説は、より精密な実験によって反証される可能性が常に残っているので、完全な証明というものは永遠に出来ない。しかし、証明は出来なくても反証は出来る。つまり、理論に反する実験や観察結果が出てきたら、その理論が反証されたことを潔く認める。それが科学だということをカール・ポパーは主張しているのである。
これに対して疑似科学は証明も反証も出来ない構造になっているのである。
かつて騒がれた「ノストラダムスの予言」などは証明も反証も出来ない疑似科学の典型である。
最後に、この本の概要は、その目次を見るだけで、だいたい分かると思うので以下に記す。
プロローグ 飛行機はなぜ飛ぶのか?実はよくわかっていない
第1章 世界は仮説でできている
第2章 自分の頭のなかの仮説に気づく
第3章 仮説は一八〇度くつがえる
第4章 仮説と真理は切ない関係
第5章 「大仮説」はありえる世界
第6章 仮説をはずして考える
第7章 相対的にものごとをみる
エピローグ すべては仮説にはじまり、仮説におわる
梅田望夫の「ウェブ進化論」 [読書]
梅田望夫の「ウェブ進化論」をしばらく前に書店で買って、一気に読まず少しずつ読んでいたが、今日、ようやく読み終わった。
Web検索には専らGoogleを利用しているが、これを読むまでは、Googleを運営する人たちのことは何も知らなかった。
「Web2.0」という言葉も知らなかった。
これを読んで、インターネットが登場して10年以上経ち、インターネットの世界が様変わりしつつあることを感じ取ることができた。
爆発的に普及しつつあるブログも、個々の記事に固有のアドレス(パーマリンク)がつけられていることやRSS技術が当たり前のように使われていることで、今までの、データベースを使用しない公開Web日記やホームページを大きく超えるインターネット上での情報伝播力を発揮していると得心した。
この本に触発されて、Googleに興味を持ったので、「Google誕生」を買ってしまった。
分厚い本だが、何とか読みこなしたい。